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第46話 決断の夜

Autor: marimo
last update Fecha de publicación: 2026-03-07 20:56:24

海外の夜は、東京よりも静かだった。

 昼間は喧騒に満ちていたはずの街も、夜になると別の顔を見せる。車の流れはゆるやかになり、遠くのクラクションもほとんど聞こえない。高層ビルの窓からこぼれる光だけが、静かな海のように街を満たしている。

 ホテルの高層階。

 厚いガラス越しに広がる夜景は、どこまでも整然としていた。

 窓の外に広がる街の灯りを前に、九条玲司はグラスを手に、じっと立っていた。

 視線は街に向いているが、実際には何も見ていない。

 思考は、ずっと遠く――東京に残してきたものへと向いている。

 氷が溶ける音だけが、やけに大きく耳に残る。

 静かな部屋の中で、その小さな音は妙に生々しかった。

 出張という名目で、この場所に来た。

 だが、商談そのものは、昼のうちにすべて片付いている。

 必要だった会談は終わり、契約の方向性も固まった。

 本来なら、ここで立ち止まる理由はない。

 ――逃げたわけじゃない。

 そう、自分に言い聞かせる。

 この出張には意味がある。

 会社のための仕事だ。

 だが、綾乃と向き合う前に、距離を置いたことは事実だった。

 それを否定する言葉は、どこにも見つ
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